■コラム
>>メンタルヘルス研修コラム
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、外出自粛や在宅勤務などのテレワークによって、人と直接会うことがなく家で過ごす時間が長くなりました。
いわゆる「巣ごもり」が続く中、ストレスや孤独を感じるという声もよく聞きます。そうしたストレスや孤独を紛らわせるために、普段よりも飲酒の回数や量が増えている人も少なくありません。しかし、大量にあるいは高頻度で飲酒を続けることはアルコール依存症になる危険があります。
アルコール依存症は、肝臓、すい臓などの内臓に負荷をかけるだけではなく、メンタルヘルスの観点からもうつ病を発症させる、脳機能の低下による人間関係の破壊など、人生における深刻なダメージをもたらします。
ここでは、従業員の健康を守るという観点からアルコール依存症への対応について、4つのポイントをまとめます。
アルコール依存症は、長期にわたって大量のお酒を飲み続けることで、お酒がないといられない状態です。アルコール依存症から回復する方法は、断酒しかありません。
しかし、アルコール依存症は「否認の病」ともいわれており、本人は病気を認めたがらないため、家族や職場の上司や同僚など、周囲の人たちが積極的に介入する必要があります。
以下は、アルコール依存症への対応についてまとめた4つのポイントです。
(1)アルコールのもたらす影響を観察する
もし従業員や家族がアルコール依存症かもしれない、と思った場合には、飲酒によってどのような影響が生じているかを観察しましょう。依存症かどうかの結論は専門医にゆだねるとしても次のような傾向があれば危険信号となります。
①お酒の飲み過ぎで職場に遅刻するなど生活に影響がある。
②お酒を飲んだ時に人間関係を壊すような言動をする。(暴力や暴言など。)
③自動車を運転する前に飲酒する。この場合、たとえ少量であっても問題のある行動です。
④お酒を飲んでいない時にふさぎ込んでいる、死にたいなどという、などうつ状態がみられる。メンタルヘルスで難しいのは、アルコール依存症によってうつ病を発症することもあれば、うつ病からアルコール依存症に発展することもあるという点です。
(2)メンタルヘルスの専門家や専門医療機関に相談
アルコール依存症は、自らアルコール依存症患者であると認めにくい病気です。治療の第一歩は、患者に治療への動機づけをうまく促していくことから始まります。もしも周囲の人からみて、アルコールの飲み方に問題があると感じたときは、メンタルヘルスの専門家や専門の医療機関に相談をしましょう。本人が受診しなくても、家族のみでも治療の相談をすることができます。
(3)自助グループ・リハビリ施設の利用
アルコール依存症は一生涯にわたり断酒を続ける必要があります。個人では続けることが困難なため、自助グループやリハビリに参加して、同じ病気の仲間と支え合いながら、自分と向き合い、アルコール依存症からの回復と、社会復帰に向けて支援してもらえます。メンタル面で支えあえる仲間の存在が大きなものになります。
(4)職場の仲間や周囲のサポート
アルコール依存症から回復するためには、飲酒以外のストレス対処法も身につけていく必要があります。メンタルヘルスにおけるセルフケアを本人が身につけること。そして会社はメンタルヘルスの専門家と相談して、本人のストレス回避への支援や、身体的・精神的合併症に対する配慮などをしていく必要があります。
この時に、飲酒が原因で起こる遅刻などの問題行動を黙認して、本人をかばうようなことは治療の妨げになります。職場として、本人に治療を受けるように伝えて、就業規則に従い、厳しい態度で、本人やその家族にアルコール依存症と向き合うように説得する必要があります。
メンタル的にも身体的にも従業員の健康を維持するために、たとえテレワーク期間中であっても、事業主にはメンタルヘルスへの配慮が求められます。特にこの時期、アルコール依存症にならないためには、予防も含めた積極的な対応が必要です。職場としての具体的な取組や専門医療機関へのご相談をご希望される際は、当社へお声がけください。
株式会社シェルメールでは、メンタルヘルス研修(セルフケア、ラインケア)を実施しています。オンライン研修でもリアル研修にも対応しております。
さらに、メンタルヘルス相談窓口業務も取り扱っています。もし、メンタルヘルス対策に取り組む際は、メンタルヘルスケアの専門家としてご相談も承っております。
お気軽にお問合せ下さい。